Wednesday, October 20, 2010

ドロシー・ファイブルマンの歴史と技法

Photo of Dorothy's sakazuki: Fuji Tomoki 2003. Church ceiling photo: Dorothy Feibleman 1973. Hungarian Calvinist church Körösfő, Romania. The Hungarian Church was built on the foundation of a medieval Tatar place of worship in Körösfő, Romania in the 1700s. (Izvoru Crișului-village name in Romanian), (Körösfő-village name in Hungarian), (Krieschwej-village name in German). ドロシー・ファイブルマン氏は、2007年に岐阜県多治見市の市の倉さかづき美術館工房で行われたワークショップで、透光性のある磁器練り込みのクラスを教えました。

また1997年と1999年には、滋賀県信楽にある陶芸の森の工房にゲストアーティストとして滞在し、作品制作およびワークショップ&レクチャーを行いました。1998年には信楽窯業技術試験場で講演を実施しました。今回、彼女が今まで約40年間に渡り用いてきた、練り込み磁器の制作方法を紹介します。








geometric 1 透光性のある磁器練り込み ドロシー DEMO



透光性のある磁器”練り込み”は、西洋的には顔料を混ぜた磁器土、または異なる白い磁器土を使用し制作されたものです。ドロシー・ファイブルマンは、構造的な透光性のある練り込み磁器を開発した最初の陶芸家で、構造的な透光性のある磁器土を使用し続けて37年になります。当時日本には透光性のある練り込みは、その長い歴史を見てもありませんでした。

ドロシー・ファイブルマンが初めて日本に構造的な透光性のある色付きの練り込み磁器土を紹介したのは1993年でした。1995年以前、彼女は制作に凹凸や平面に色の付いた磁器土を使用していましたが、1995年のハンガリーでの制作活動以降は、彼女のレパートリーに平面と凹凸を透光性の異なる白い磁器土を使用したものが加えられました。

そのハンガリーの磁器土には、チェコ・カオリンが含有されていて、彼女はそれを透光性のある白い磁器土と組み合わせ、まるでプリカジュールかステンドグラスのような模様のブロックに作り上げます。濃い白が構造の中で強いほど、透光性のある磁器土は内へ溶けます。①凸凹、②凹凸、③平面の3種の仕上がりは、焼成の温度と焼成時間によって決まります。基本的に、これら3種の凹凸効果は焼成から出されることになります。


1.凸凹 ガラス状の丸い構造(液体を透過しない)

Dorothy Feibleman © 1995 / Dorothy Feibleman ©1999



















2. 凹凸
凹凸の構造のうち、濃い白色が盛り上がり、角になっている部分はつや消し効果の白磁器土を。また、凹んだ部分は、わずかに光沢のある白磁器土が使用されています。このような凹凸構造は、光が当たると影をつくり、やわらかく、ベルベットのような印象を与えます。

しかし、このつや消しになっている部分は素焼きのようになっており、置き物用の作品にのみ適していると言えます。また、防水性がなく、多孔性になっているので、水を入れると浸透し、色のついたもの(お茶類、ワインやしょうゆなど)を入れるとシミになってしまうので、食卓用の食器としても使用しないほうがよいでしょう。

***国際的には、食品衛生法などにより、シリコンの防水剤は食卓用の食器には適していないとされています。

3.a. 平面

作品全体が、素焼きのようなつや消し効果や、わずかに光沢のある磁器土を使用していなければ、それはガラス質(水漏れしない状態)であり、シミにもならず、そして食器としても使用できます。(http://dorothyfeibleman.blogspot.com/2010/07/blog-post.html, 同じ画像の拡大)




3.b. 波状の面
もし、二種類の磁器土が使用されていれば、どちらの土もガラス質になりえます。しかし、両方の磁器土の収縮率が同じとは限りません。結果として、水面上の小さな波のような大変面白い効果が得られますが、どちらの磁器土もガラス質になっていればシミになることはありません。(http.//dorothyfeibleman.blogspot.com/2010/07/blog-post.html,同じ画像の拡大)



ドロシー・ファイブルマン氏は、混ぜ合わせることのできる7色の透光性のある磁器土を利用できるようにした最初の陶芸家です。透光性のある色付きの磁器土は5色あり、さらに透光性のある白と黒は際限なく混ぜ合わせることができ、様々な色の表現を可能にしました。その磁器土は、1984年からヨーロッパのポドモレス社(後にポッタリークラフト社)で、その会社がリモージュ社の一部門になるまで販売されていました。


故松井康成氏は、1997年に信楽にある陶芸の森で彼女の制作した透光性のある白と白の凹凸のある器を見た後、同年に彼女が使用していたものと同じ透光性のある磁器土をポッタリークラ
フトで大量に購入しました。






これらの透光性のある白の凹凸のある作品の一つが、1998年の国際陶磁器フェスティバル美濃の芸術セクションにおいて展示され、後にニューヨーク市にあるメトロポリタン美術館に永久収蔵品として購入されました。





1986年、岐阜県の国際陶磁器フェスティバル美濃において、初めてドロシー・ファイブルマン氏の作品が展示されました。彼女が陶芸家として日本に定着したのは1993年で、1997年以降、その存在感を著しく確立していきました。2000年のINAX実験工房での制作活動後、愛知県常滑市に独立工房を立ち上げ、現在もそこで制作活動を続けています。

No comments: